Mori Cafe プロローグ NY ＃２
高校を卒業して美容学校に進んだのは、メイクアップアーティストになりたいと思ったからだった。
メイクアップアーティストになるのに美容学校に行く必要は本当はないのだけれど、やはり、その当時はメイクさんがヘアースタイルをすることも多々あったし、何より、やはり美容師免許という、国家資格があったほうが何かといいだろうな。。と思った事でもあった。
最初は美容室で働いた。メイクアップアーティストにいきなりなるのは敷居が高い気がしたのだ。まずは髪の毛も出来てキャパも広めないとと思った。
何年か美容室で働いて、メイクの仕事もするようになっていた。
仕事で海外に行ったり、日本中を飛び回ったり、色々な経験することが出来ていた。
でも、いつもNYの事は頭のどこかにあった。
そして、ある休日に青山辺りをぶらぶらしていて、そのまま渋谷まで歩いてしまおうと２４６を下って行った。
その時、本当に急に稲妻が降りるように ”NYに行く！”
という声がした。そして、その次に ”半年後に！” と聞こえた。
それからは、迷いなく、NY行きを半年かけて、準備した。
半年前に決めたNY行きはきりがいいということもあり翌年の４月１日に決めた。
NYに住むと１９歳の時に決心したのに、私はそれから一切英語を勉強しなかった。六本木で働いていたのに外国人のお友達を作ろうともまったく思わなかった。私は英語が話せるようになりたいのではなくNYに住みたかったのだ。ただそれだけだった。
でも、さすがにNY行くと２４６の上で決めた後に、英語の参考書（CD付き。）を１冊買ってみたくらいだ。
その参考書とCDをNY行きの機内で勉強したのを覚えている。その時になってようやく ”そういえば、私英語全然話せないんだよな。。” と思っていた。
そんな感じでついたNY。コンビニ見たいなお店に何かを買いに行った時に、この人は英語を話しているのだろうかと思った。
私が、聞いて来た英語とはあまりにもかけ離れていたからだ。
かなりのカルチャーショックだった。
でも、NYを嫌いになったりはしなかった。そして、日本に帰りたいとも思わなかった。
今、考えたら、本当に良く生きていたよなぁ。。。としみじみ思う。
かなり、めちゃくちゃだったのに今でもあの時の事は、街の空気まで思い出せるようだ。
１年半くらい経った頃には、日本でいた時のように、美容室とメイクの仕事をフリーの形でやれるようになったり、人生を語れる素敵な飲み友達なんかも出来て、NYシングルライフを満喫していた。
でも、たまに、仕事の後に一人で食事などしていると、寂しいな。。。というか、何かぽっかりした感じを、それがなんなのか良く分からずに、ただ違和感として感じていた。その時の私は自分が孤独を感じていると認識していなかった、または認めたくなかった。（私は自分自身にも強がってよく真実を見ようとしない傾向にあると思う。特に昔は。。。）
そんな時に、今の旦那と会った。そして、付き合い始めた直後に９１１が起こった。
（続く。）
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Mori Cafe プロローグ NY
そろそろ、いいかな。。。
と、思い始めたのは、いつからだろう。。。
きっと、やっと自分が本当に打ち込めるものを見つけることができたからなのだろう。
色々と、迷い迷った人生だった。
まっすぐでは、決してなかった。
突き動かされるように、動くかと思えば、何にも決断できずに停滞するような一貫性のない日々。
単身でNYに移り住んだのは、最初の海外旅行がNYだったから、、、でもそれは偶然ではなかったのかもしれない。
初めて、NYに着いた時の事は忘れられない。
美容学校の研修旅行だった。クイーンズボローブリッジを渡っていた時に観光バスの大きな窓から見た、摩天楼。衝撃だった。取り込まれるようにバスはシティーに入っていき、バッテリーパークに降り立った時に、この街は心臓の上に立っていると思った。街がドクドクと動いているように感じた。
いつか、必ず返ってくる。そう心に誓った。
そして、私は返ってきた。
大好きなNYでの生活。本当に楽しかった。時間があれば、近くのセントラルパークで散歩した。天気の良い日は本を持って行って芝生の上でよく読んだ。歩いて行ける距離に全てある至近距離感。みんなが自由気ままに生きていて、そして、みんなNYが大好き。NYはそんな街だ。
この人は昔ファッションデザイナーだったのでは？というようなお年寄りがごろごろといる。今はもういないかもしれないけれど、当時はよく黒人の若いおにーちゃんがラジカセを片手にスケボーなどしながら、街を練り歩いたりもしていた。
自分が心から惚れた土地に住む喜びを心から感じていた。
（続く。）
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