Mori Cafe プロローグ 始まりの終わり #9
結局のところ、私は専業主婦には向いていなかったのだと思う。
息子が赤ちゃんの時は、仕事をしたいとは思わなかったけれど、1年ほどの休業のあと、私は何かしたくてウズウズしていた。
仕事をしている方が、家事をきちんとしなくても良いと言う大義名分があることにも、賢い私は気がついていた。
何かしたいな。。と思っていたところに、たまたま、私の住んでいる町で一番大きなホテル(と言うよりも、この街はそのホテルが出来たところから始まったと言っても良いといいくらいの存在であった。)にその時に私が参加しているテニスのリーグの試合のために向かった。
このホテルはプライベートリゾートで、会員制でもあり、私のテニス相手がそこのメンバーだったのだ。私の対戦相手は、試合のアレンジをした時に、車を(私がつまりメンバー以外が。)駐車するのに20ドルかかると言ってきた。彼女がホームなので、私が払う必要はない。もちろん彼女は駐車料金は彼女が持つと言った。
でも、私はそのホテルから歩いて行ける距離に住んでいた。そこで、私は彼女に聞いた。私が歩いていけばお金かからないよね。。。と。
私は、そのホテルに歩きながら、考えていた。なぜかと言うと、そのホテルには高級日本食レストランが入っていて、そこのシェフは私の友達の旦那様でもあった。
歩いていける距離で働けたらこんなに良い事はないよなぁ。。。。と。
フレンチベーカリーで食の道をかじった私は、料理の世界に興味を持っていた。
そこで、ダメ元で、友人に聞いてみた。そうしたら、ちょうど空きがあると言う事で、話はトントン拍子で進んでいった。
料理学校や調理師免許を持っていない私のためにシェフははじめ私をウェイトレスとして、3ヶ月ほど働かせて、その後に私を調理場に入れてくれた。
そこで、5年間みっちりと寿司を中心とした日本料理を教わった。
その間に、私の食生活も変わっていった。
一番大きな変化はお肉類を食べなくなった事だ。その少し前から、ローフードに興味を持った。新鮮な生きた食べ物を体に取り入れる心地よさにはまっていった。
そして、私はそのホテルの中で、冷製物を専門に扱うGarde Manger (通称コールドルーム)と言われる部署に移動した。
この部署は、サラダやサンドウィッチ、アペタイザーなどを扱うことが多く、もちろん冷製だったら、なんでもなので、野菜だけではないけれど、私の興味に一番近い職場であった。
そうして、食の道を色々と模索した結果、私は人生で初めて、自分がこれを届けたい。と言うものが出来てきた。
体に優しく、体が喜ぶ、そして、美味しいお料理。そして、それに関わる全ての物を紹介していけたらこんなに幸せな事はないのではないかと思うようになった。
そう、ここで、やっと始まりの終わり。
これからは、私が今まで学んできた物をみなさまにシェア出来たら良いなと思う。
それが、皆様の生活に少しでも何かの形で役に立ってもらえればと言う願いを込めて。
(プロローグ終わり。)
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